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国別ガイド · ベトナム · 法規制

ベトナムの暗号資産:財産として認められても、取引はライセンス待ち

ベトナムの暗号資産普及率は世界4位。それでも2026年10月時点で正式ライセンスを持つ取引所は1社もなく、認可事業者以外での取引にはすでに罰金が科されうる状況です。法律の現状、パイロットの進捗、税金と罰則、そしてベトナム居住者がいま合法的にできることを整理しました。

  • #4Chainalysis 2025 世界普及指数
  • 0.1%譲渡ごとの個人所得税
  • 3,000〜5,000万ドンの罰金(2026年9月1日から)
  • 米国FinCEN登録MSB
  • 米国30州以上の送金業ライセンス
  • PCI DSSレベル1
ビットコインのネオンが灯るアジアの夜市のモノクロ写真。ベトナムの活発な暗号資産市場と規制を象徴
0社:正式ライセンスを持つベトナムの暗号資産取引所(2026年10月)
BuyCrypto.asia 編集部 データ確認: 2026年10月 更新:

ハノイやホーチミンでは、ほとんど誰もが暗号資産をやっている友人を一人は知っています。Chainalysisの推計では、2025年6月までの12か月間にベトナムが受け取った暗号資産は約2,200億ドルで前年比55%増、約2,100万人のベトナム人がデジタル資産を保有・利用しています。それでも2026年まで、この市場はずっとグレーゾーンにありました。いよいよ法律が整いましたが、生まれたのは皮肉な状況です。暗号資産は財産として認められたのに、認可取引所はまだ開業しておらず、認可事業者以外での取引にはすでに罰金が科されうるのです。このページはベトナムの暗号資産規制の現状とリスクの解説に絞り、ベトナム居住者向けの購入手順は扱いません。

01ベトナム暗号資産市場パスポート

Socialist Republic of Viet Nam ベトナム
通貨
ベトナム・ドン(VND)
法的地位
暗号資産は財産であり法定通貨ではない。支払いへの利用は違法
枠組み法
デジタル技術産業法(2026年1月1日施行)
パイロット
決議第05/2025/NQ-CP号、期間5年、ドン建て決済
規制当局
財務省がライセンス発行、国家証券委員会が監督、ベトナム国家銀行が決済を所管
認可取引所
正式認可0社、原則承認5社
税金
譲渡ごとに0.1%の個人所得税、法人20%
罰金
認可事業者以外で取引した個人に3,000〜5,000万ドン(2026年9月1日から)
#4Chainalysis 2025 世界暗号資産普及指数
$2,200億2025年6月までの12か月の暗号資産受取額
2,100万人デジタル資産を保有・利用するベトナム人
10兆ドン:パイロット取引所の最低資本金

一言でいえば、保有は合法、支払いは違法、取引は認可ルートで。ただしその認可ルートがまだ開いていない、というのが現状です。

2025年6月14日、ベトナム国会は「デジタル技術産業法」(番号は71/2025/QH15と報じられています)を可決し、2026年1月1日に施行しました。この法律は初めて「デジタル資産」を法的に認め、「仮想資産」と「暗号資産」の2種類に分類しています。後者は暗号技術で作成・移転が検証される資産を指します。ライセンス、マネーロンダリング対策、サイバーセキュリティの条件は政府が定める仕組みです。立法の背景のひとつには、ベトナムが金融活動作業部会(FATF)の「グレーリスト」に載っていることがあります。

具体的な取引のルールは、政府が2025年9月9日に公布した決議第05/2025/NQ-CP号が定めています。5年間の暗号資産パイロット市場を設け、暗号資産は財産であって法定通貨ではないと明記し、すべての取引をドン建てで決済すること、さらに国内で法定通貨や証券を裏付けとする資産を発行することを禁じています。つまり、国内でドン建てステーブルコインは発行できません。

一方で、ベトナム国家銀行(SBV)の立場は長年変わっていません。暗号資産を支払手段として使うことは違法で、2019年の政令第88号に基づき1億5,000万〜2億ドンの罰金が科されえます。保有や資産としての取引はこれまで明確に禁止されたことがなく、ここ数年P2P市場が野放図に拡大した理由もそこにあります。

ビットコインの上に置かれた裁判官の小槌。2026年のベトナムの暗号資産規制と罰金を象徴
ベトナムは2025〜2026年に、枠組み法、パイロット決議、税務通達、罰則政令を矢継ぎ早に整備しました。

03パイロット取引所:原則承認を得たのはどこか

パイロットのハードルは非常に高く設定されています。取引所の運営会社はベトナム法人で、払込資本金10兆ドン(約3.8億ドル)以上。株式の65%以上を機関が保有し、そのうち35%超を2社以上の銀行・証券会社・ファンド運用会社・保険会社・テクノロジー企業が保有する必要があります。外資の出資比率は49%まで、情報システムはセキュリティレベル4を満たさなければなりません。パイロット期間中に発行されるライセンスは最大5件です。

ライセンスは財務省が発行し、国家証券委員会(SSC)が監督、ベトナム国家銀行が決済と銀行口座、公安省がセキュリティ認証を担当します。手続きは財務省決定第96号で定められ、申請受付は2026年1月20日に始まりました。2026年3月までに、以下の5社が原則承認を得ています。

ベトナム財務省の原則承認を得たパイロット暗号資産取引所(2026年10月時点)
事業者背景最新の動き
TCEXTechcom Exchange、テクコムバンク / TCBS系TCBS会長が2026年4月に「ライセンスが出ればすぐ開始できる」と発言
CAEXVPBank / VPBankSとLynkiDOKX VenturesとHashKey Capitalが2026年4月に出資し資本要件を充足へ
SCEX(旧LPEX)LPBankと関係2026年5月4日にSacom / SCEXへ改称、資本金を3,600億ドンに増資
VIXEXVIX証券準備段階
Vietnam Digital AssetsSun Group傘下準備段階

このほか、SSI Digitalが2026年3月に韓国のBithumbと覚書を締結し、MBなども関心を示しています。ただし「原則承認」はライセンスではありません。各社はさらに10兆ドンの資本を払い込み、レベル4のセキュリティ認証と公安省の認証を取得し、約10の手続きを終える必要があり、その後財務省が30日以内に審査します。財務省は当初2026年第3四半期の運営開始を目指していましたが、ベトナムの経済メディアCafeFは9月2日の記事で「2026年末」と見通しを修正しています。

何が取引できるのでしょうか。当局が強調しているのは、農産物、不動産、グリーンエネルギー、賃料収入といったトークン化された実物資産です。Bitcoinistの6月の報道によると、ビットコイン、イーサリアム、USDTも認可取引所でドン建てで扱われる見込みですが、最終的なリストはまだ公表されていません。

04罰金:2026年9月1日から認可事業者以外での取引が処罰対象に

2026年7月16日、政府は政令第284/2026/NĐ-CP号を公布し、9月1日に施行しました。主な内容は以下のとおりです。

  • 個人が認可事業者を通さずに暗号資産を取引した場合:3,000万〜5,000万ドンの罰金
  • 個人が「外国人投資家向けに発行された」暗号資産を取引した場合:7,000万〜1億ドンの罰金
  • 組織が無許可で暗号資産サービスや発行を行った場合:最大2億ドン
  • 当局は関連活動の停止や資産の没収も可能。外国人投資家向けの口座開設・管理について、銀行にも義務と罰則が設けられている

これまでベトナムの人々は主に、BinanceなどのP2P市場で、銀行振込やVietQRを使って業者の個人口座に送金しUSDTを買っていました。2025年9月1日からは銀行口座に顔認証による生体認証が義務づけられ、未認証の約8,600万口座が閉鎖または制限されたことで、P2Pの「受取用口座」の余地も大きく狭まりました。P2P全般のリスクはP2Pガイドで解説していますが、ベトナム居住者にとって問題はもはや詐欺だけでなく、合法性そのものだという点を忘れないでください。

05ベトナムの暗号資産税:取引ごとに0.1%

財務省の通達第32/2026/TT-BTC号(2026年3月27日施行と報じられています)が、パイロット期間の税務ルールを定めました。

個人

  • 譲渡額の0.1%を個人所得税として課税
  • 上場株式と同じ扱い
  • 居住者・非居住者とも同じ
  • 認可事業者を通じた取引が対象
税

法人

  • 純利益に20%の法人所得税
  • 収入から原価・費用を差し引いて計算
  • 暗号資産の譲渡はVAT免除
  • パイロット期間中の暫定措置

注目すべきは、0.1%が利益ではなく取引額に対して課される点です。損失が出ていても売却すれば課税されます。日本の雑所得(総合課税)とはまったく発想が違います。過去に海外プラットフォームで行った取引の扱いについて通達は明確に定めていませんが、そうした取引自体がいまや罰金の対象になりえます。各国の税制比較はアジアの暗号資産税制ガイドをご覧ください。

06ベトナム居住者がいま合法的にできること

認可取引所が開業するまで、ベトナム居住者にできることは多くありません。ただ、どれも大切なことです。

第一に、暗号資産で支払いをしないこと。このルールは2014年から変わっておらず、罰金は最大2億ドンです。第二に、無認可の事業者で取引しないこと。9月1日以降、これは罰金の対象となる行為です。第三に、手元の資産を適切に管理すること。報道によれば、パイロットの枠組みでも個人ウォレットでの保有は認められています。秘密鍵とシードフレーズはオフラインで保管し、購入記録や送金の証跡を残しておきましょう。将来、認可取引所での取引や税務申告で必要になる可能性があります。ウォレットの安全管理の基本は暗号資産のセキュリティにまとめています。

第四に、最初のライセンスを待ち、確認すること。正式なリストは必ず財務省か国家証券委員会から発表されます。それまでは「ベトナム初の認可取引所」を名乗るアプリ、Telegramグループ、ウェブサイトはまず疑ってかかりましょう。取引所の信頼性の見極め方は取引所の安全性とライセンスで解説しています。

07ONUS、BDOGEとよくある詐欺

2026年3月、公安省はトークン価格の操作と誤解を招く宣伝を理由に、ONUSに関係する複数の人物を逮捕しました。Vemantiの会長、ONUSの技術責任者、HanaGoldの取締役などが含まれ、VNDC、ONUS、HNGといったトークンが関係し、140人以上が事情聴取を受けました。ONUSはかつてベトナムで最も有名な国産暗号資産アプリだったため、この事件で「国産ステーブルコイン」への信頼を失った人も少なくありません。

2026年9月23日には、ハノイ警察のサイバーセキュリティ部門が、BDOGEというトークンが「上場後に1万倍」をうたって販売されているものの実際には無価値だと警告しました。同年3月には、いわゆる「Xintelエコシステム」で70億ドン超を失った被害者も出ています。警察はSNS上の暗号資産投資詐欺について繰り返し注意を呼びかけ、不審な取引を見分ける15の指標も公表しています。

共通する特徴は見分けやすいものです。固定または誇大な利回りを約束する、すぐに送金するよう急かす、Telegram・TikTok・Facebookでグループに誘う、「サポート担当」が指定するアドレスへの送金を求める。ひとつでも当てはまったら、いったん立ち止まってください。

08今後の注目点

ベトナムのルールはいまも急速に変化しています。私たちは以下の点を継続的に追い、このページを更新していきます。

  • 最初の正式ライセンス:原則承認を得た5社のうち、どこが最初に資本とセキュリティ認証を満たし、財務省がいつ発表するか
  • 取引可能な資産のリスト:ビットコイン、イーサリアム、USDTが予想どおり認可取引所に上場されるか
  • 海外プラットフォームの遮断:ロイターが報じた遮断ルールが公布されるか
  • 報告義務:9月17日に公表された通達案は、認可取引所に毎日の報告、準備金証明、コールド / ホットウォレットの開示を求めている
  • 海外プラットフォームの動き:2025年9月、グエン・ホア・ビン筆頭副首相がBinanceとBybitの幹部と会談し、Binanceにダナン国際金融センターへの事務所開設を打診

近隣市場の状況は、タイの暗号資産ガイド(認可事業者での取引はキャピタルゲイン非課税)、フィリピンの暗号資産ガイド、そして暗号資産取引を全面的に禁止している中国本土のページをご覧ください。すべての国の概要はアジア各国の暗号資産ガイドにあります。

よくある質問

2026年、ベトナムで暗号資産を保有するのは合法ですか?

保有そのものは合法です。2026年1月1日に施行された「デジタル技術産業法」により、暗号資産は初めて法律上の財産として認められました。ただし、暗号資産で商品やサービスの代金を支払うことは引き続き違法で、取引は財務省(MoF)が認可したパイロット事業者を通じて行う必要があります。2026年10月時点で、正式なライセンスを取得した事業者はまだありません。

ベトナムに認可された暗号資産取引所はありますか?

まだありません。2026年10月時点で、財務省が「原則承認」を出したのは5社です。TCEX(テクコムバンク系)、CAEX(VPBank系)、SCEX(旧LPEX)、VIXEX(VIX証券)、Sun Group傘下のVietnam Digital Assetsです。正式ライセンスには10兆ドンの資本の払込みと、情報セキュリティのレベル4認証が必要です。現地報道によると、パイロットの運営開始は2026年末になる見込みです。

ベトナムでBinanceなどの海外取引所を使うと罰金がありますか?

そのリスクがあります。2026年9月1日に施行された政令第284/2026/NĐ-CP号により、個人が無認可の事業者を通じて暗号資産を取引した場合、3,000万〜5,000万ドンの罰金が科され、関連資産が没収される可能性もあります。Binance、OKX、Bybitなどの海外取引所はいずれもベトナムの認可を受けていません。10月1日時点で個人への処分は報じられていませんが、法的リスクはすでに存在します。

ベトナムの暗号資産の税金はどうなっていますか?

財務省通達第32/2026/TT-BTC号によると、個人が認可事業者を通じて暗号資産を譲渡する場合、取引額の0.1%が個人所得税として課されます。上場株式と同じ扱いで、居住者・非居住者の区別はありません。法人は純利益に20%の法人所得税、暗号資産の譲渡は付加価値税(VAT)が免除されます。これはパイロット期間中の暫定的なルールです。

ベトナムの居住者はいま何をすべきですか?

最も確実なのは、無認可の事業者で取引しないこと、暗号資産で支払いをしないことです。すでに保有している資産については、個人ウォレットや既存資産に関する当局の今後の規定に注意し、購入記録を保管しておきましょう。財務省が最初の正式認可取引所を発表したら、そこでドン建てで取引するのが基本です。高利回りをうたうトークンや投資グループには警戒してください。

参考資料

ベトナムにお住まいでない方へ

対象国・地域の居住者であれば、海外プラットフォームでカードを使って暗号資産を購入できます(日本居住者は対象外)。ベトナム居住者は財務省の正式認可を受けた取引所を待ち、現地の法律に従ってください。

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