01暗号資産の購入コストは5つの層でできている
暗号資産取引所の手数料比較というと、公式サイトの「手数料0.1%」だけを見がちです。しかし実際に財布から出ていくお金は少なくとも5つの層に分かれます。取引手数料(メイカー/テイカー)、売値と買値の差であるスプレッド、入金手数料(銀行の振込手数料やコンビニ入金など)、日本円や暗号資産の出金・送金手数料、そしてブロックチェーンのネットワーク手数料です。国によっては取引ごとの税金が6つ目の層になります。
これらの層は互いにトレードオフの関係にあります。アプリの販売所でワンタップ購入すれば取引手数料は0円でも、スプレッドで数%払っていることがあります。取引所(板取引)で指値注文を出せば手数料はごくわずか、場合によってはリベートがもらえますが、先に銀行振込で日本円を入金しておく必要があります。この仕組みを理解するほうが、「手数料が一番安い取引所」を暗記するより役に立ちます。

02メイカーとテイカー:取引手数料の基本
板取引のある取引所では、メイカーとテイカーで手数料が変わります。メイカーは、板に並んで誰かに約定されるのを待つ指値注文を出す人。テイカーは、板にある注文とすぐに約定する注文を出す人で、成行注文は必ずテイカーです。メイカーは市場に厚みを加えるので、通常は安く設定されています。
日本の取引所はこの点でかなり有利です。GMOコインはBTC・ETH・XRPのメイカーが−0.01%(つまり受け取れる)、テイカーが0.05%。Coincheckの取引所はBTC、ETH、XRP、SOL、DOGEなど主要ペアで0%/0%。bitbankは標準で−0.02%/0.12%、SBI VCトレードは−0.01%/0.05%、OKJはLv1(30日の取引額100万円未満)で0.07%/0.14%です。海外ではBinanceの基本ランクが0.10%/0.10%、Kraken Proの最初のランクが0.40%/0.80%です。
手数料は30日間の取引額などに応じて下がりますが、数万〜数十万円を買う個人はほぼ基本ランクのまま。比べるべきは基本ランクで、「VIPなら0.02%から」は気にしなくて大丈夫です。
03販売所と取引所の違い:スプレッドが最大のコスト
スプレッドとは買値と売値の差のこと。「手数料」の欄には出てきませんが、初心者にとって最大のコストになりがちです。日本はこれがいちばんはっきり見える市場で、金融庁に登録された暗号資産交換業者のほとんどが、同じ市場への入口を2つ用意しています。
販売所(業者が相手)
- 業者が価格を提示して売ってくれる
- 画面がシンプルで「手数料無料」
- コストはスプレッド、1〜5%になることも
- Coincheckは0.1〜5.0%と開示(一部通貨はさらに高い)
- ごく少額・急ぎの購入向き
取引所(板取引)
- 利用者同士が売買する
- 指値注文に慣れる必要がある
- メイカー/テイカーで0〜0.15%程度
- メイカーはリベートが出ることも
- 同じ金額なら通常ずっと安い
「販売所 スプレッド 高い」は日本の購入者からとても多い不満です。bitFlyer、Coincheck、GMOコインなどでは、アプリの「販売所」ではなく「取引所」や「板取引」のタブに切り替えて指値注文を出すだけで、コストの大半がなくなります。Coincheckの開示によればスプレッドは0.1〜5.0%で、一部の通貨では1.7〜7.0%に達します。仮想通貨取引所の販売所手数料が「無料」と書かれていても、実はここで払っているわけです。
楽天ウォレットやメルコインのように、ポイントや売上金で買える販売所中心のサービスは、入口としては便利ですが同じくスプレッドが実質コストになります。国内の取引所ごとの特徴は金融庁登録の暗号資産取引所比較、制度全体は日本の暗号資産ガイドをご覧ください。同じ構造は海外にもあり、インドネシアのPintuの簡易モード、フィリピンのGCash内のGCrypto、香港のOSL Flash Tradeなどもコストはスプレッドに含まれています。
04試算:10万円分のビットコインを買うといくらかかる?
調査で集めた代表的な手数料をもとに、10万円分のビットコインを4つの方法で買った場合のコストを比べました。これは説明のための試算で、特定の取引所の実際の見積もりではありません。実際のコストはその時のスプレッドや入金方法で変わります。
ポイントは3つあります。まず、「手数料無料」の販売所Aは、取引所Dの約60倍のコストになりえます。次に、取引所でメイカー注文を使えば、GMOコインなら−0.01%で逆に約10円受け取れ、CoincheckのBTCなら0円です。最後に、出口のコストも忘れずに。売却後に日本円を出金すると、Coincheckなら407円、bitFlyerなら銀行により220〜770円かかり、GMOコインは無料です。
参考までに、海外の場合は対象国の居住者が10万円相当をカードで即時購入すると、カード手数料約3%とスプレッド約0.5%で3,500円ほどになる計算です。ただし国内の取引所は一般にクレジットカードでの購入に対応しておらず、海外の多くのプラットフォームは日本居住者を受け入れていません。カード購入の注意点はクレジットカードでビットコインを買う方法にまとめています。
対象国にお住まいなら、少額のカード購入で全体の流れを試せます。確認画面ですべての手数料が表示されます。カード手数料0.49〜4.99%+サービス料 · 日本居住者は対象外
カードで購入05暗号資産取引所の手数料比較表:国内と海外
まず日本の登録取引所です。取引所(板取引)の手数料はBTCなど主要ペアの基本ランク、出金は日本円を銀行に出金する場合。一部は二次情報にもとづくため、取引前に公式ページで確認してください。
| 取引所 | 取引所(板)メイカー / テイカー | 日本円出金手数料 | 公式サイト |
|---|---|---|---|
| bitFlyer | Lightning現物 0.01〜0.15%(30日取引量で変動) | 三井住友銀行 220円(3万円未満)/ 440円、他行 550円 / 770円 | bitflyer.com |
| Coincheck | BTC・ETH・XRPなど 0% / 0% | 407円(販売所スプレッド0.1〜5.0%) | coincheck.com |
| GMOコイン | BTC・ETH・XRP −0.01% / 0.05%、その他 −0.03% / 0.09% | 無料(大口出金は400円)、即時入金も無料 | coin.z.com |
| bitbank | −0.02% / 0.12%(標準) | 550円(3万円未満)/ 770円 | bitbank.cc |
| SBI VCトレード | −0.01% / 0.05% | 無料(暗号資産の送金も無料) | sbivc.co.jp |
| OKJ | Lv1 0.07% / 0.14%(最低0.02% / 0.06%) | 400円(100万円未満) | okj.com |
| BitTrade | BTC・ETH・XRPなど 0% / 0.10% | — | bittrade.co.jp |
| Binance Japan | 0.1% / 0.1%(取扱66銘柄で国内最多) | PayPayマネーへの出金110円 | binance.com/ja |
bitFlyer、bitbank、SBI VCトレード、Binance Japanの数値は二次情報です。手数料は頻繁に変わるため、公式ページを確認してください。
次に海外の取引所です。日本居住者が使えるかどうかを必ず確認してください。金融庁の登録がない業者には日本の利用者保護が及ばず、金融庁はBybit、MEXC、Bitget、KuCoinなど無登録で営業する業者に警告書を出しています。
| 取引所 | 現物 メイカー / テイカー | 日本居住者の利用・備考 |
|---|---|---|
| Binance | 0.10% / 0.10%(BNB割引で0.075%) | グローバル版は利用不可。日本居住者は登録業者Binance Japanへ。binance.com |
| OKX | 約0.08% / 0.10% | グローバル版は日本居住者を対象外とし、関連会社の登録業者OKJが提供。 |
| Bybit | 約0.10% / 0.10% | 無登録で警告を受け、2025年10月31日に日本の新規登録を停止。 |
| Coinbase | Advanced 約0.40% / 0.60% | Coinbase株式会社は登録一覧に載るものの暗号資産の取扱いなし。 |
| Kraken | Pro 0.40% / 0.80% | 金融庁の登録なし。kraken.com |
| CEX.IO | 0.15% / 0.25% | カード手数料0.49〜4.99%+サービス料。日本居住者は利用できません。CEX.IOレビュー |
| MEXC | 約0% / 0.05%(長期キャンペーン) | 金融庁が警告書を発出。手数料が安くても日本では無登録です。 |
「約」の数値は当サイトの調査データにもとづき、2026年10月には再確認できていません。
アジアの他の市場では、韓国のUpbitがウォン市場で0.05%、Bithumbが標準0.25%(クーポン適用で0.04%)、タイのBitkubが0.25%、マレーシアのHATAがメイカー0%/テイカー0.40%、フィリピンのPDAXが約0.40%/0.50%です。各国の比較は韓国などの国別ページに、海外取引所の総合ランキングは暗号資産取引所おすすめランキングにあります。
06日本円の入金・出金と送金手数料
入金(振込手数料に注意)。国内取引所への銀行振込は、ほとんどの業者で入金手数料が無料ですが、銀行の振込手数料は利用者負担です。ネット銀行からのクイック入金(即時入金)は、GMOコインなら無料、Coincheckは770円からで、高額では0.11%+495円かかります。Coincheckのコンビニ入金は3万円未満で770円、3万〜30万円で1,018円。少額を何度も入金すると、この固定費が積み重なります。PayPayマネーで入金できるBinance Japanのような選択肢もあります。
日本円の出金。出金は定額が基本です。GMOコインとSBI VCトレードは無料、Coincheckは407円、OKJは400円(100万円未満)、bitbankは550〜770円、bitFlyerは220〜770円(銀行と金額による)。定額手数料は少額出金ほど割高になるので、まとめて出金しましょう。手順は暗号資産の出金方法で解説しています。
暗号資産の送金とネットワーク手数料。取引所からウォレットや別の取引所にコインを送ると送金手数料がかかります。多くは「0.0002 BTC」のようにコインの枚数で決まるため、価格が上がると円換算では高くなります。USDTはネットワーク(TRON、Ethereum、Solanaなど)によって手数料が大きく違いますが、まず受け取り側がそのネットワークに対応しているか確認してください。日本ではトラベルルールに金額の下限がなく、海外取引所への送金が制限される場合もあります。送る前に送金とトラベルルールを読んでおきましょう。
07「手数料無料」の暗号資産取引所の真実
「手数料無料」は強力な宣伝文句ですが、本当にコストゼロの取引はほとんどありません。私たちが見てきた「無料」は4つに分類できます。
1. コストがスプレッドに含まれている。日本の販売所、Pintuの簡易モード、OSL Flash Tradeの0%などがこれにあたります。2. 本当に0%の板取引だが、一部のペアだけ。CoincheckのBTC・ETHの取引所が代表例で、本当に安いのですが指値注文を使う必要があります。3. 期間限定のキャンペーンやクーポン。Bithumbの0.04%クーポンは申請が必要で30日間有効、MEXCのメイカー0%は長期キャンペーンでいつでも変わりえます。4. 別のところで回収している。入金手数料、出金手数料、不利な為替レート、ハイリスクなレバレッジ取引への誘導などです。
銀行から取引所に入金できずP2Pしかない国では、プレミアムを手数料とみなして比較しましょう。リスクと取引相手の選び方はP2P取引ガイドにあります。公式の手数料ページ:Coincheck 手数料、Binance 手数料表、Kraken 手数料表。登録業者は金融庁の登録一覧で確認できます。
よくある質問
販売所と取引所の違いは何ですか?
販売所は暗号資産交換業者が直接価格を提示して売ってくれる形式で、画面がシンプルで「手数料無料」と表示されますが、スプレッド(売値と買値の差)が実質的なコストになり、1〜5%程度になることも珍しくありません。Coincheckは0.1〜5.0%と開示しています。取引所(板取引)は利用者同士が注文板で売買する形式で、手数料はメイカー/テイカーで0〜0.15%程度。同じビットコインを買うなら、通常は取引所のほうがずっと安くなります。
暗号資産取引所の手数料を比較するとき、どこを見ればいいですか?
取引手数料(メイカー/テイカー)だけでなく、スプレッド、日本円の入金方法ごとの費用(振込手数料、クイック入金、コンビニ入金)、日本円の出金手数料、暗号資産の送金手数料をまとめて見ることです。たとえばGMOコインは即時入金と日本円出金が無料、Coincheckは取引所のBTCが0%ですが日本円出金は407円です。
メイカーとテイカーの違いは?
メイカーはすぐには約定しない指値注文を出して板に流動性を加える側、テイカーは板にある注文とすぐ約定する側で、成行注文は必ずテイカーになります。多くの取引所はメイカーを安くしており、GMOコインやbitbankなどはメイカーにマイナス手数料(リベート)を払います。Binanceの基本ランクは0.10%/0.10%、Kraken Proの最初のランクは0.40%/0.80%です。
「手数料無料」の取引所は本当に無料ですか?
実際にはほとんどありません。「無料」の販売所や簡易購入はスプレッドにコストが含まれ、期間限定キャンペーンや一部の通貨ペア限定のこともあります。Coincheckの取引所でのBTCのように本当に0%の板取引もありますが、指値注文を使う必要があります。支払った円に対して何枚のコインを受け取れたかで判断しましょう。
日本円を出金するときの手数料はいくらですか?
2026年10月時点の各社公表値では、GMOコインとSBI VCトレードは無料、Coincheckは407円、OKJは100万円未満で400円、bitbankは3万円未満で550円、bitFlyerは三井住友銀行宛てで220円(3万円未満)〜、他行宛てで550〜770円です。定額の手数料は少額の出金ほど割高になるので、ある程度まとめて出金するのが基本です。
参考資料
- Coincheck — 手数料 · checked Oct 2026
- GMOコイン — 手数料 · checked Oct 2026
- OKJ — 手数料 · checked Oct 2026
- 金融庁 — 暗号資産交換業者登録一覧 · 2026年9月1日現在
- Binance — fee schedule · checked Oct 2026
- Kraken — fee schedule · checked Oct 2026
- Upbit — 이용 안내 · checked Oct 2026
計算できたら、少額から
最初は少額で流れを試し、確認画面で支払総額と受け取る数量を必ずチェックしましょう。日本にお住まいの方は金融庁登録の取引所をご利用ください。
国際ライセンス取得プラットフォーム · 2013年から運営 · 対象国の居住者向け(日本居住者は対象外)