01アジア19市場の暗号資産税制を一覧で
「暗号資産に税金はかかるのか」という問いに、アジアでは一つの答えがありません。個人がビットコインを売って利益を出しても、ある国では税金ゼロ、別の国では給与と合算して累進課税、さらに別の国では儲かったかどうかに関係なく取引ごとに少額が差し引かれます。下の表は私たちが確認した情報源に基づきます。「利益への課税」は、個人が暗号資産を手放したときの主な税金を指します。
| 市場 | 利益への課税 | 主なポイント | 税務当局 |
|---|---|---|---|
| 日本 | 雑所得、最大約55% | 暗号資産同士の交換も課税、損失繰越なし。令和8年度税制改正大綱で登録業者の資産に20%分離課税の方針、2028年からの見込み(未立法)。 | 国税庁 |
| 韓国 | 現状非課税、2027年から22%予定 | 年間250万ウォン超の利益に国税20%+地方税2%。2026年9月、与党が再び延期を要求。 | 国税庁(NTS) |
| インド | 30%(+4%目的税)+1% TDS | 控除は取得費のみ、損失の通算・繰越不可。年間基準額超の送金で1%源泉徴収。Schedule VDA(ITR-2/3)で申告。 | 所得税局 |
| タイ | 認可業者での売却は0%(2025〜2029年) | 省令第399号。海外業者、DeFi、P2P、ステーキング、レンディング、マイニング、デリバティブは対象外で最大35%。海外所得の送金は課税されうる。 | 歳入局 |
| インドネシア | 0.21%最終税(認可)/1%(海外) | PMK 50/2025、2025年8月1日から売り手の取引額に課税。暗号資産の購入にVATなし、業者手数料にはVAT。 | 税務総局 |
| ベトナム | 送金ごとに0.1% | 通達32/2026、認可業者経由の取引が対象で上場株式と同じ扱い。2026年10月時点で認可取引所は未開業。 | 財務省 |
| フィリピン | 通常所得、0〜35%累進 | 暗号資産専用の法律はなく、BIRは交換やステーキングも含め通常所得として扱う。CMEPAの15% CGTは非上場株式向けで暗号資産は対象外。 | BIR |
| シンガポール | 長期保有にキャピタルゲイン税なし | 事業としての売買、マイニング、ステーキング、暗号資産での給与は所得課税。DPTの売買は2020年からGST免除。 | IRAS |
| 香港 | キャピタルゲイン税なし | 利得税は香港で営む事業からの利益のみ(取引の性質で個別判断)。暗号資産での給与は給与所得税。DIPN 39参照。 | 税務局 |
| 台湾 | 財産取引所得、5〜40% | 海外業者での利益は最低税負担制(AMT)の海外所得。年100万台湾ドル未満は不算入、算入後は基本所得750万台湾ドルまで控除し超過分に20%。 | 財政部 |
| マレーシア | 時々の売買・長期投資は原則非課税 | 頻繁・事業的な売買、マイニング、暗号資産での受取は所得課税。「12か月保有で非課税」という説に公式の根拠はない。 | LHDN |
| UAE | 個人所得税・キャピタルゲイン税なし | 法人は基準額超で9%の法人税。仮想資産の移転はVAT免除(2018年に遡及)、手数料には5% VAT。 | 連邦税務庁 |
| カザフスタン | 個人所得税10%/15% | 2026年1月1日施行の新税法で月額計算指数8,500倍超は15%。個人の売買益の申告ルールは整備途上。 | 国家歳入委員会 |
| キルギス | 一律10% | 暗号資産の売却益は一律所得税率で課税、交換は非課税とされる。認可業者は別途取引に3%の売上税。 | 国家税務局 |
| パキスタン | 不明確、公式文書を確認 | 2026〜27年度予算でキャピタルゲイン課税を暗号資産に拡大予定だが、二次情報が食い違う(一律15%、または短期15%/長期5%)。FBR公表のFinance Act 2026を確認。 | FBR |
| 中国本土 | 暗号資産税制なし | 仮想通貨関連の事業活動は違法な金融活動で、関連契約は無効。本土向けの税務ガイドは掲載しません。 | — |
| バングラデシュ | なし(取引禁止) | バングラデシュ銀行FE通達第24号(2022年)が仮想資産の取引を禁止しており、利益を合法的に申告する方法がない。 | バングラデシュ銀行 |
| ブータン | 特段の規定なし | 個人の利益の扱いは未定義。居住者が合法的にニュルタム(BTN)で買う手段はなく、事業はゲレフ・マインドフルネス・シティの認可事業者のみ。 | 歳入関税局 |
| ミャンマー | なし(取引禁止) | ミャンマー中央銀行がすべての暗号資産取引を禁止しており、合法的に申告できない。 | — |
各税務当局の最新告示を確認してください。タイ、インドネシア、ベトナムの優遇税率・低税率は現地の認可業者にのみ適用されます。
02日本の暗号資産の税金:最大55%から20%へ
日本の居住者にとって、いちばん気になるのは自国のルールでしょう。現行制度(2026年分)では、暗号資産の利益は雑所得として給与などと合算され、所得税45%+住民税10%の最大約55%で課税されます。暗号資産同士の交換、たとえばビットコインをイーサリアムに替えることも、いったんビットコインを売ったものとして扱われます。損失は翌年以降に繰り越せません。詳しい計算方法は国税庁のFAQにまとめられています。
「仮想通貨 税金 20% いつから」はよく検索される疑問です。令和8年度税制改正大綱は、登録交換業者で扱う「特定暗号資産」に20%の申告分離課税(所得税15%+住民税5%)と3年間の損失繰越を導入する方針を示しました。2027年度の金融商品取引法改正の施行に合わせ、2028年1月1日からと見込まれていますが、まだ所得税法には盛り込まれていません。また、対象は国内の登録業者で扱う資産とみられ、海外取引所での利益は従来の雑所得のままになる可能性があります。
つまり、バイナンスなど海外取引所で取引している日本居住者も、利益は確定申告の対象です。日本ではBinance Japanが金融庁に登録された業者として運営されていますが、海外のグローバル版とは別物です。国内の登録業者は日本の取引所おすすめで比較し、制度全体は日本の暗号資産ガイドで確認してください。
034つの課税モデル:あなたの国はどこに入る?
上の表を圧縮すると、アジアの暗号資産税制は4つのグループに分かれます。税率を暗記するより、自分の国がどのグループかを知るほうが役に立ちます。
モデル1:累進の所得課税。日本、台湾、フィリピン、カザフスタンは暗号資産の利益を他の所得と合算します。なかでも最大約55%で損失繰越のない日本の雑所得課税はもっとも重く、2028年の改正が登録業者の資産だけを対象にすると見込まれることも、私たちが日本居住者に登録業者を勧める理由の一つです。
モデル2:一律税率、損失は制限。典型はインドで、一律30%、損失の通算不可、送金ごとに1% TDS。このルールでは頻繁な売買はほぼ成り立たず、議会委員会は2024〜25年度のインドの暗号資産取引の約91.5%が海外業者に流れたと指摘しました。韓国が予定する22%もここに入りますが、年250万ウォンの基礎控除があります。
モデル3:小さな取引額課税。インドネシア(0.21%)とベトナム(0.1%)は、利益の有無にかかわらず売却額や送金額の一定割合を差し引きます。1回ごとは小さく見えても、頻繁に売買する人、特にグリッドボットを使う人には利益を直接削る負担です。
モデル4:個人投資家はおおむね非課税。UAE、シンガポール、香港、マレーシアは個人の長期投資の利益に原則課税せず、タイは2025〜2029年に認可業者経由の売却を一時的に非課税にしています。キーワードは「個人の投資」です。税務当局に事業としての売買と判断された場合や、マイニング・ステーキング・サービス報酬による収入は所得課税の対象になりえます。
04何が課税のきっかけになるのか
円に換えるまでは税金がかからないと思っている人は少なくありませんが、いくつかの国ではそれは誤りです。日本とフィリピンは暗号資産同士の交換を課税対象とし、ビットコインをイーサリアムに替えれば、先にビットコインを売ったものとみなされます。インドはすべてのVDA移転にTDSを課します。暗号資産で直接買い物をすることも、多くの制度では「手放した」ことになります。
ステーキング報酬、エアドロップ、マイニング収入は、多くの場合受け取った時点の時価で課税され、その後の値上がり・値下がりは売却時に課税されます。インドはエアドロップとステーキングを受取時に累進税率、売却時に30%で課税し、タイの非課税措置はステーキングやマイニングを含まず、カザフスタンは2026年からマイニングで得たコインに受取時点で課税します。
一方、円で買うこと、自分のウォレット間で移すこと、ただ保有していることは、ほとんどの国で課税のきっかけになりません。ただし国境をまたいでコインを動かす前には、取引所間送金を規律するトラベルルールのガイドを読み、各アドレスが自分のものである証拠を残しておきましょう。
取引ごとにきれいな明細が欲しいなら、規制を受けた業者を選ぶのが近道です。対象国・地域の居住者向け · 日本居住者は対象外
今すぐ始める05記録管理チェックリスト:今すぐやるべき5つのこと

暗号資産の税金で本当に大変なのは計算ではなく、記録が欠けていることです。取引所がハッキングされたり、破綻したり、日本から撤退したり、口座が凍結されたりすると、完全な取引履歴を取り戻すのは非常に難しくなります。次の5つの習慣は、早く始めるほど確定申告の手間を減らしてくれます。
- 四半期ごとに明細をエクスポート
すべての取引所から売買・入出金・手数料の履歴(CSVやPDF)をダウンロードし、オフラインに2部保管します。
- 円換算額を記録する
取引ごとに円建ての価格と為替レートを控えます。多くの国は自国通貨での損益計算を求め、後から再現するのは手間がかかり誤りも生じやすくなります。
- 自分のウォレットアドレスに名前を付ける
自分のアドレス一覧を作っておけば、ウォレット間の移動を売却や所得と誤認されずに済みます。
- ステーキング・エアドロップ・マイニングは別管理
受取日、数量、受取時の時価を記録します。多くの国で別の種類の所得として扱われます。
- 取得価額の計算方法を決めて変えない
先入先出法や平均法など、税務当局が認める方法を一つ選び、安易に切り替えないこと。日本で使える方法は国税庁のFAQで確認できます。
コインを円に戻して銀行に出金する予定があるなら、出金前に税務上の扱いを考えておきましょう。換金・出金ガイドが参考になります。
06CARF:2027年から海外取引所も報告の時代へ
OECDの暗号資産等報告枠組み(CARF)は、いわば暗号資産版のCRSです。参加国の暗号資産事業者が顧客の税務上の居住地と取引データを収集し、税務当局同士が自動的に交換します。
アジアのスケジュールも固まりつつあります。香港のCARF規則は2027年1月1日に施行され、最初の情報交換は2028年。UAEは2025年9月にCARFの多国間協定に署名し、2027年1月1日からデータ収集、2028年から交換を始めます。シンガポールとフィリピンも参加を表明し2027年前後の報告開始が見込まれ、韓国もCARFで暗号資産データを交換します。中国本土は、私たちの知る限り参加を表明していません。
個人への影響は直接的です。ドバイや香港の認可業者での取引も、いずれ居住国に報告される可能性があり、「海外取引所なら税務署にはばれない」という考えは年々通用しなくなっています。韓国の延期論議でも海外取引データの把握の難しさが論点の一つですが、CARFはまさにそれを解決するための仕組みです。
07編集部からのアドバイス
各国のルールは国別ページでさらに詳しく解説しており、すべて国別ガイドからたどれます。業者の登録状況の調べ方は取引所の安全性ガイドをご覧ください。最後にもう一度:本ページは税務アドバイスではありません。金額が大きい場合は、お住まいの国の税理士に相談してください。
よくある質問
日本の暗号資産の税金は今どうなっていますか?
2026年分の時点では、暗号資産の利益は雑所得として給与などと合算され、住民税を含め最大約55%の累進課税です。暗号資産同士の交換も課税対象で、損失の繰越はできません。年間の利益など一定の条件に当てはまれば確定申告が必要です。具体的な申告要否は国税庁の「暗号資産等に関する税務上の取扱い」FAQや税理士に確認してください。
暗号資産の税金20%はいつから始まりますか?
令和8年度(2026年度)税制改正大綱は、登録交換業者で扱う「特定暗号資産」に20%(所得税15%+住民税5%)の申告分離課税と3年間の損失繰越を導入する方針を示しました。2027年度の金融商品取引法改正の施行に合わせ、2028年1月1日からと見込まれていますが、まだ所得税法には盛り込まれていません。2026年分は従来どおり最大約55%です。
バイナンスなど海外取引所の利益にも日本で納税が必要ですか?
原則として必要です。多くの国は、どの取引所を使ったかに関係なく税務上の居住者として課税します。日本の居住者であれば海外取引所の利益も雑所得として申告対象です。また2028年からと見込まれる20%課税は登録業者の資産が対象と見られ、海外取引所の利益は従来の課税のままになる可能性があります。OECDのCARFにより海外の取引情報も税務当局に届きやすくなります。
アジアで暗号資産の利益が非課税なのはどこですか?
2026年10月時点で、UAEには個人の所得税・キャピタルゲイン税がありません。シンガポール、香港、マレーシアは個人の長期投資の利益に原則課税しませんが、事業としての売買は課税対象です。韓国は個人にまだ課税していませんが2027年から22%が予定されています。タイは2025〜2029年、SEC認可業者経由の売却益を非課税にしています。いずれも条件付きで、記録の保管は必要です。
暗号資産の税金のために、どんな記録を残すべきですか?
購入・売却・暗号資産同士の交換・送金・ステーキング報酬・エアドロップごとに、日付、銘柄、数量、円換算額、手数料を記録し、各取引所の取引履歴を丸ごとエクスポートしておきます。取引所が破綻したり口座が閉鎖されたりすると履歴が取り出せないことが多いため、四半期ごとに保存し、オフラインにもバックアップしましょう。
参考資料
- 国税庁 — 暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ) · 2025年12月版、2026年10月確認
- インド所得税局 · 2026年10月確認
- IRAS — GST on digital payment tokens · 2026年10月確認
- 香港税務局 — DIPN 39(デジタル資産) · 2026年10月確認
- タイ歳入局 · 2026年10月確認
- インドネシア税務総局 · 2026年10月確認
- OECD — Crypto-Asset Reporting Framework · 2026年10月確認
記録がきれいに残る場所で取引を
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国際ライセンス取得プラットフォーム · 2013年から運営 · 対象国の居住者向け(日本居住者は対象外)